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【研究報告】長鎖ポリリン酸が、細胞のガン化を抑制する。
マクロファージという、掃除屋。
私たちの体内には、細菌やウイルスなど、外敵の侵入を防御する免疫システムとして、白血球という細胞を持っています。
この白血球の中で、免疫の中心的役割を果たしているのが「マクロファージ」という細胞です。
マクロファージは「食細胞」と呼ばれる細胞で、ウイルスなどを食べて消化して除去する働きをしています。
外敵から身体を守るために、とても重要な機能を果たす細胞です。
少し詳しく働きを見ていきます。
ウイルスが血液中に侵入すると、マクロファージがウイルスを捕食します。
このとき、マクロファージ内部にあるiNOS[アイノス]と呼ばれる酵素が活性化し、一酸化窒素(NO[エヌオー])を産出します。
このNOが、体内に侵入したウイルスを攻撃し、殺菌する働きを担います。NOは他にも血管拡張作用、神経伝達物質としての作用など多様な働きをしています。
薬にも毒にもなる、NO。
NOは、フリーラジカル(自由で過激な、という意味)と呼ばれる反応性の高い分子で、周囲にあるものを攻撃して傷つける性質があります。この性質は外敵のウイルスのみならず、自分自身の細胞をも傷つけてしまうことを意味しています。
長期的なウイルス感染などが引き金となって、体内でNOが過剰に産生され、自分自身の細胞(DNA)も持続的に傷つけられます。これがガンの誘発や悪性化につながることが報告されています。
つまり、ウイルスを攻撃する働きをもつNOは、同時に自分自身の細胞をガン化させてしまう可能性も併せ持つ、取り扱いの難しい存在であると言えます。
iNOSのスイッチをオフにする、長鎖EXポリリン酸®。
NOの過剰発生を食い止めるには、その大元であるiNOSの働きを抑制することが効果的です。
iNOSは、通常の状態であれば発現しないのですが、炎症やストレスなど外部環境からの刺激を長期間受けることで、広範囲の組織で強く誘導されてしまいます。
外部環境とは、紫外線、排気ガス、たばこ、ストレス、各種化学物質など、私たちの生活環境や生活習慣によるところが大きく、現代は特に刺激を受けやすい状況になっていると言えます。
そんなiNOSですが、過剰反応のスイッチをオフにする働きとして、「長鎖EXポリリン酸®」が有効であるという研究成果が発表されました(Harada et al., PLOS ONE, 8, e74650, 2013)。
長鎖EXポリリン酸®とは、今、世界中で研究が進められており、一般的なポリリン酸よりも分子の長さがそろっているものを指します。
ポリリン酸は種々の機能を持つ人体成分で、長鎖・中鎖・短鎖というそれぞれの長さによって働きが異なる、大変特殊な性質を持っています。
長さによって機能が違うことから、その特定の長さのみ集めたものが「EXポリリン酸®」です。
これまでの研究から、中鎖EXポリリン酸®は、育毛効果やコラーゲン増産効果など多数の働きが確認されており、また短鎖EXポリリン酸®は歯のホワイトニングに有効であることが実証されています。
そして今回、長鎖EXポリリン酸®が、マクロファージのiNOSに働きかけることで NOの過剰分泌を抑制し、ガン化を未然に防ぐ効果が期待できることがわかりました。
整腸効果も確認されたポリリン酸。
ポリリン酸は、体内の“万能薬”と呼びたくなるほど重要な生理機能が次々に発見されており、分子生物学の分野で世界的な研究が熱を帯びています。今後も研究の進展が強く望まれる分野です。
2011年には、サッポロビールと旭川医大の共同研究グループが、乳酸菌内のポリリン酸による整腸効果を発表しました。
乳酸菌に整腸効果があることは広く知られていましたが、具体的な活性物質までは突き止められていませんでした。共同研究グループは、この物質がポリリン酸であることを世界で初めて特定し、医薬品や、健康食品への幅広い応用が可能になることを公表しました。(Segawa et al., PLOS ONE, 6, e23278, 2012、北海道新聞2011年8月16日)
iNOSに働きかけることでガン化の抑制が期待できる「長鎖EXポリリン酸®」は、新規医薬品やサプリメントなどを含めてさらに応用範囲が広がる可能性があり、世界中の大学で研究が進められています。
今後の製品開発への応用に一層の期待がかかります。