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【研究報告】EXポリリン酸®とは
「FGF安定化」と「細胞増殖促進作用」を持つポリリン酸
【図1 細胞表面のFGFレセプターに結合したFGF-2のポリリン酸による安定化】
ポリリン酸が安定しない場合、レセプターに結合したFGF-2は20時間でほぼ完全に分解してしまうが、ポリリン酸が共存することにより、数十時間以上FGF-2が安定に存在している。
ポリリン酸には、線維芽細胞の増殖を促進する作用があります。
また、繊維芽細胞増殖因子であるFGF-1やFGF-2と共存するかたちで培養細胞に添加すると、その細胞増殖促進効果が高まることがわかりました。
FGFとポリリン酸の相互作用を解析してみると、両者は物理的に結合し、ポリリン酸がFGFの安定性を向上させるだけでなく、FGFとその細胞表面レセプターの結合を増強していることがわかりました(図1)。
EXポリリン酸®
【図2 各種鎖長の分割ポリリン酸による細胞増殖促進】
「細胞増殖促進作用」に関して、ポリリン酸の分子量の違いによる効果を確認したところ、細胞増殖の促進には約60個以上のリン酸残基が結合したポリリン酸が一番効果的であることがわかりました。(図2)
哺乳類に存在するポリリン酸のリン酸重合度(鎖長)は約60程度であることがわかっています。したがって、生体内由来と同程度の分子量をもつポリリン酸を入手することが、生体内ポリリン酸の機能研究にとって必須となります。
そこで、ある程度均一な分子量範囲をもつポリリン酸を調製し、それを用いてポリリン酸の機能研究を進めることにしました。
【図3 重合度(鎖長)の揃ったEXポリリン酸ナトリウム】
通常原料として販売されているポリリン酸ナトリウムは長さがばらばらのものが混合された状態なので、それぞれの長さに依存した性質(特徴)が発揮されにくい。EXポリリン酸は、その混合状態のポリリン酸を高度に精製したもので、平均130個程度のリン酸が結合した長鎖EXポリリン酸、60個程度のリン酸が結合した中鎖EXポリリン酸、7~12個のリン酸が結合した短鎖EXポリリン酸の3種類がある。よってEXポリリン酸は、それぞれの長さに依存した特徴が最大限に発揮される。
一般に分子量分布範囲が広く低分子ポリリン酸の含有量が多い市販のポリリン酸ナトリウムから、分子量の大きさによって「長鎖」「中鎖」「短鎖」の3つの分子量分布をもつ分割ポリリン酸を抽出精製しました。
その分割ポリリン酸をさらに精製してグループ化し、「長鎖EXポリリン酸®(平均鎖長約130)」「中鎖EXポリリン酸®(平均鎖長約60)」「短鎖EXポリリン酸®(鎖長約7~12)」として研究に使用しています。(図3)